フツーの体験記

富士登山ツアー 2006年08月20日 22:48 Pages: 1 2

富士登山ツアー

これまたサイトの趣旨からちょっと外れる体験記。でも怪しさのないまともな体験記とも言えるぞ(苦笑)

旅記録か日記の方に書くつもりだったのだが、今回はツアーに参加と言う形で登ったので、個人で行くのとは結構色んな違いもあって、これから富士登山を検討される方にも参考になるだろうと思い体験記と言う形で書く事にした。

先月友人のHさん(昔の会社の同僚で若干年上の男性)から富士登山に誘われる。
一生に一度は登っておきたいと言う気持ちと、温泉ランチバイキング付で2万と言う京都からだと個人では交通費だけで超えてしまいそうなその安さに惹かれて、ついついOK。
一緒に行く事にした。

参加したのは盆休みを利用しての夜出発の3日間プラン。
2006年
8月12日土曜の夜に出発。バスの中で仮眠して、翌13日の朝に富士五合目に着。早めの昼食後、昼前から登りだし、夕方には八合目の山小屋着。夕食後また仮眠して、朝食のお弁当をもらって夜中に出発。明け方に頂上着。日の出を見て、すぐに下山。五合目をバスで出発して温泉昼食を済ませてから夜には京都着と言う行程。

しかしツアーと言っても日本一の富士登山。
地上と頂上の気温差は20度!真夏であっても山頂は日中10度以下。明け方なんかは0度近くまで下がると言う。
また酸素が薄く地上の3分の2、気圧も3分の2で、血圧が高くなり頭痛吐き気を催し体がだるくなる・・いわゆる高山病になる人も多い。水も貴重でトイレも有料。

その上、天候によっては登山出来なくなったり日の出が見れなかったりする訳だから、ホントにちゃんと登れて御来光が拝めるのか?
そんな不安要素盛り沢山のままの参加だったのだ。

2006年 8月 12日 (土) 初めての富士登山

持ち物準備

今回の富士登山、山頂は真冬並みと言う。
「とりあえずセーターとか持ってったら大丈夫やろ」とHさんに言われたものの、ちょっと気になってネットで調べ始めると、服装は綿は汗で重たくなってダメとか、トイレットペーパーは芯を抜いて持参すべしとか、着替えも必要とか、でも荷物は最小限に軽くとか・・ってますます何を用意すればイイのかわからなくなってくる。

さらに多くの人が高山病になるとして、日頃のトレーニングに自転車、水泳、前日は睡眠をよくとるとか、富士登山って・・そ、そんな大変な事なのか・・と調べれば調べるほど不安になってきた。年寄りから子供まで登ってるとは言え、日本一高い山だし大変かも。
かと言って、富士登山の為に急に筋トレはじめたりするのもなぁ(汗)。
まぁ、何とかなるだろうと考え、もうあんまりネットで情報を入れるのはやめようと思った。不安になるだけだ。

とか言いながら、やっぱり靴だけはちゃんとした物をと、登山用の靴を購入。1万弱。デジカメも普段使ってるのは大きくて重いし、最近は携帯並の大きさで600万画素とか平気であるし、ここは一つあらためて小さいのも買おうとコンデジを購入。4万弱。あと懐中電灯もいるらしいから頭につけれるもの。帽子も持ってないし、帽子。などなど。
この時点で既に富士登山旅費の2万を超えて準備だけで5万を超えてしまった・・。

なにせ初めての富士登山だけに、最後の最後まで持ち物は色々迷ったのだが、とにかく身軽さが一番と考え必要最低限に抑え、重ね着用の着替え中心に普段使ってるDパックにまとめて、あとはカメラ携帯などをウェストポーチに納めるだけにした。
持ち物については、実際、準備しても必要なかったり、逆に準備しとけばよかったと思うものも沢山あるので、最後に参考にまとめる。

京都出発

そしていよいよ12日夜。
出発の前に静岡の天気を見てみる。今日は曇り時々雨。降水確率40%・・。
登山の明日は曇り時々晴れの30%・・。
日の出を見る明後日は曇り時々晴れで40%・・ 。
・・・・。
び・・微妙だ・・。

京都は地下鉄の竹田駅に22:50集合となっている。Hさんとは現地集合の約束。
とりあえず夕ご飯を食べて早めに21時半過ぎに家を出る。丸太町から地下鉄に乗って行けば早いと思い、バスで烏丸丸太町まで出て地下鉄で切符を買おうと切符売り場に行くと、目の前でHさんが切符を買っていた。ちょっとビックリ。
これはこれは、どちらまで?富士山?私もですよ!奇遇ですなぁ!
一緒に地下鉄に乗って竹田駅まで行く。

集合場所にはボチボチとリュックを背負った人達が集まりだしていた。それが、みるみる増えておよそ30人ぐらいだろうか?京都だけでこんなに集まるのか?じゃあ、全国から来る富士登山者はどれぐらいの人になるのだろ・・。
自販機で500ccの緑茶ペットボトルを買って飲みながらバスを待つ。

添乗員らしき人が来た。意外と若いカワイイ女性だった。この人も登るの?まさかねー。
そう言えば、集まってる人達もオジサンオバサンばかりかと思ってたら全然若い人ばかりで20代前半が中心か?しかも女性の方が多い気がする。もちろん家族連れやカップルもいた。
乗るバスは87号車との事。
・・・・??
87号って・・、87台もバスが出るのか!?
Hさんと顔を見合わせる。二人して複雑な笑いがこみ上げる。
何か、お盆は富士山頂でさえ人であふれてるのだろうか・・。ちょっとゾッとした。

23時過ぎ、ようやくバスに乗る。バスは普通のデカイ観光バスで、乗り口に席の表がある。
バスの下の荷室にDバックを預け、クーラーで寒いかもしれないと思い長袖のシャツとウェストポーチだけ持参して席に乗り込んだ。
我々二人組みは前から4列目ほどの左の二席だった。
バスの席は満杯。京都の前に大阪でも人を乗せてる様で全員で40人ぐらいか。
座ってみると普通のバスより若干広くリクライニングが出来ると言う程度で、足の長いオレは足元の窮屈さが非常に気になった。ちょっと翌朝まで耐えられるのか不安だぞ。
後ろの方の席で補助席を出してる人がいて運転手らしきオジサンが注意していた。夜中の走行で電気を消すから緊急時、補助席が出てると危険らしい。なるほど。

23時半、バスが動き出す。添乗員はさっきの女の子一人で簡単に挨拶。運転手は二人いて交代で運転するようだ。その運転手の一人が、簡単に注意事項を説明。夜中走行中は室内消灯。カーテンもみな閉めてもらうとの事。途中、2時間おきぐらいにパーキングエリアで30分ほど休憩を取り、バスに戻る時間をボードに書いて運転席の前に置いておくとの事。もちろん時間厳守。明日の朝8時頃には富士山五合目に着くらしい。

京都南インターからバスが高速に入る。電気が消された。寝れるだろうか?

2006年 8月 13日 (日) 登山開始

一日一膳ウ○コ事件

8月13日0時20分。
バスがサービスエリアに入る。最初の休憩だ。添乗員が寝てる人に気を遣って小声でマイクで0時50分まで休憩と告げる。バスは87号車なので間違えないようにとの事。
とりあえずトイレに行く。Hさんはタバコ休憩。早めにバスに戻ろうとするが早速、バスが沢山あり、しかも87号車ってどこに書いてあるのかわからない。
同じ色のバスを見つけるが、乗り口の席の表でHさんの名前を探すが無かった。これとは違うぞ。Hさんも戻ってきて一緒に探す。と、見覚えのある添乗員を見つけてようやくバスがわかった。
添乗員にどこにバスの番号が書いてあるのか教えてもらうが、小さすぎてこれではわかっててもわかりにくいぞ。添乗員も苦笑。どーもこの添乗員もも一つ慣れてない感じだ。その辺りを聞くのも失礼な気がして聞かなかったけど。
添乗員が人数を確認。運転手も交代して再びバスが走り出す。
今度こそ寝よう。今寝とかなくては明日の登山に響く。
しかしこれがなかなか寝れない。

3時10分。再びバスがパーキングに入って休憩。Hさんはタバコ休憩。オレはバスから出ず。頑張って寝ようとする。でも眠れない。3時40分再びバスは走り出す。
4時55分。最後の休憩で1時間。ここで朝食をとりたい人はとるようにとの事。今度はオレも降りる。トイレの後、ハーブ園とか何とか言う公園みたいなところが横手にあったので一人ぶらつく。空はすっかり明るくなっていた。
その後、Hさんと店に入って朝食をとる事に。あんまり食べ過ぎると登る時にこたえそうなので、軽くベーコン、チーズ、サラダをナンで挟んだようなのを1つ食べる。
5時55分出発。

7時過ぎ、間もなく五合目に到着するとの事で添乗員が登山の注意事項のプリントをみんなにまわして説明を始める。登山道は「河口湖ルート」と呼ばれる道らしい。
登山は現地の専任ガイドが先頭を歩き、最後尾を添乗員が歩くらしい。やっぱり添乗員も登るのか。ちょっとビックリ。登る方が本職だったりして・・でも、ある意味すごい添乗員だ。

8時前、バスが五号目に到着。しかしなんか運転手の二人組みが止める場所を探している。って、よくわからんが添乗員の企画会社とバスの会社とお世話になる店とか皆立場がバラバラなのか、も一つスムーズに流れてない気がしたが、まぁ格安ツアーとかって初めての参加だし、こう言うものなのだろうか。
いったん五合目の下の駐車場にバスを止める。しばらくお待ちくださいとの事。とりあえずバスを降りてみる。既に雲が眼下に見える。ここでもう標高2400Mなのだ。反対側には綺麗な富士山頂が見える。雪は積もってない。何か早く登りたくてワクワクしてきたぞ。

何やらどこかに行ってた添乗員が走って戻ってくる。食事をとる店の人にバスの止め場所を確認してたのか、また何か運転手2人と添乗員と打ち合わせをして、再びみんなバスに乗り込む事になる。で、昼食をとる店の前で再び降りる。みんな荷物を降ろし一旦3Fの更衣室に行って登山準備をする。更衣室は男女別々の広間になっていて、もう下山してきたツアーの人達なのか沢山の人が死んだように寝っころがっていた。その合間を縫って、Hさんが着替え始める。オレはもうそのまま登山のつもりで着てきたので、廊下でHさんを待つ。

食事は10時からで、登山は11時からとの事。結構時間がある。Hさんと店をブラブラする。トイレに入ると50円。よその客がトイレで「歯を磨かないでくださいね」と店の人に注意されていた。ここでももう水は非常に貴重らしい。

で、オレは登る前にウ○コをしておかねばと50円を小箱に入れて、トイレの小部屋の扉を開けた。すると、いきなりイヤな臭いが・・!
なんと前の人のウ○コが流れてないのだ。色は綺麗なようだ。健康に問題は無い。
いや、そんな事を観察してる場合ではない!まさかいくら水が貴重だからとは言え、人のウ○コの上に自分のウ○コを重ねなくてはならないのか!?と一瞬ワケのわからない発想が頭をよぎったが、冷静にまわりを見るとちゃんと流すボタンがあり、注意書きに「これは泡で流す方式です。使用前と使用後にボタンを押してください」とあった。
前の人はこのボタンを押しても流しきれなかったのか?それともボタンに気付かなかったのか?
とりあえずボタンを押してみる。見ず知らずの人のウ○コが流れていくのを見送る。一日一膳。無事に流れきったのを確認した後、自分もウ○コする。一件落着。
食事をしながら読んでる方・・失礼しました。

登山開始

食事まで、まだ時間があった。Hさんとウロウロ散歩。なんか下の方に公衆トイレが見えて、行ってみるとこっちは特にお金は取られない様だ。最初からこっちですれば良かったとちょっと後悔したが、一日一膳ウ○コ事件と言うネタが出来たからイイかと自分を納得させておく。
店で、ミネラルウォーター500ccを一本買っておく。
スプレー缶ぐらいの大きさで携帯酸素も売っていた。使ってみたいけど、荷物になるしやめておく。そのあと、ボーっとしながら、日焼け止めを付けまくったりしつつ時間をつぶす。

そう言えば先週、仏画で一緒の山好きの年配の方が、今度富士山に登ると言ったら、高山病の事を色々教えてくれた。
昔は、富士山でも一合目からゆっくり登っていくから、自然と体が気圧の変化に慣れていって高山病もそんなになかったそうだ。しかし今は五合目まで一気に車でいけるから、急な変化に体が追いつかなくて高山病になりやすいらしい。だから五合目で十分に体を慣れさせてから登った方がイイと言っていた。
バスが着いてから登山開始まで3時間ぐらいあるのもその辺りの理由があるのかもしれない。(あるいは単なる企画上の都合かもしれない。)

ようやく10時になり昼食の時間だ。登る前にあんまり食べたくないなぁ、と思いながら店の2Fの食堂へ。するとお弁当におそば付きと、これまたボリュームのある食事が用意されていた・・。た、食べ切れるのか?つーか、食べきってもそれで登って気持ち悪くならないのか?これはパスさせて貰った方が良かったなーと、ちょっと後悔しつつも今更そんなわがままを言うのも迷惑な話だろうし、食べれるだけ食べて残そう・・と思いながら結局全部綺麗に食べてしまった・・。
昔から親に食べ物を粗末にするなと言われ続けてきたからなのか、習慣とは恐ろしい。おそらく途中で吐いても食べてそう・・。

11時過ぎ。いよいよ登山開始だ!添乗員がみんなに黄色いリボン(と言うかビニール紐)を配る。他のツアーと見分ける為にカバンに付けるのだ。
そして現地専任ガイド登場。いかにも山男といった感じの色黒の40代前後ぐらいの男性。誰かに似てるなーと思ってたら、親戚のオジサンに似ていた(←特に記事とは関係ない)。

11時20分。軽く説明の後、早速歩き始める。「山に慣れてる人は後ろの方へ、慣れてない自信の無い人は前の方へ来て私の後ろを歩くように。」と山男ガイドが言い、オレも自信が無いからと前へ行こうとしたのだが、みんな先を競って前へ行くから気が付いたら最後尾近くになっていた。まぁいっか。
広い土の道をしばらく歩く。40人ぐらいのツアーだけになんだかホント遠足みたいな感覚だ。しかもツアーはここだけでなく他のツアーも沢山いる。もうほとんど行列みたいな感じだ。多分、山道に入るとだんだん人もまばらになっていくのだろう。

道はしばらく下りになっていた。なんか下った分また登るのかと思うと損した気分。
途中、馬が人を乗せて歩いていた。どーも高山病で動けなくなった人を運ぶ為に馬が活躍してるようだ。
しかし道端に時々、ダイナミックに馬の糞が落ちてる。なんで掃除しないのだ。肥やしになるのか?(←んなわけない)

11時40分。富士登山道(吉田口)と言う標識が見える。そこからまたゆるやかな土の道を登っていく。

 

七合目が沢山

12時。ちょっと広いところに出る。眺めがいい。標識があった。六合目だ。割と早くに着いた感じ。少し休んでまた歩き始める。

ここで友達からメールが入り、せっかくだから富士山からの景色をメールに添付して驚かせようと思って送信すると送信途中にイキナリ電池が切れて送信できなくなった。
そ、そんなに使ってたっけ?
電源も期待できないだろうから充電器も持って来なかった。
出る前に満充電してたはずなのに・・やっぱり3年以上も使ってると電池も限界か。山頂で誰かにメールしてやろうと言う計画もこの時点で富士山の藻屑となって消えていった。

山男ガイドが我々を呼ぶ時は「フジサミット87、ここで休憩取るよー!集まってー」って感じ。で、ツアー行列最後尾の添乗員が着くと「フジサミット87最後尾到着です!」と声をかける。点呼は要所要所でしか取らないようだ。
うちらのツアー以外にも近くを歩いてるのがフジサミット85と86の様で、違う色のリボンをカバンにくくってた。

六合目を過ぎてからすごく見晴らしが良くなってくる。
しかし七合目になるのか次の山小屋がやたら遠くの上の方に見える。遠いぞ・・。でも、ペースがゆっくりだからなのか道が緩やかだからなのか、そんなに大してキツイ山道って感じでもなく、息切れも特にしなかった。標高が高いだけに適度に涼しくて、ちょっと曇りなのでそんなに暑くも無い。割と楽なペースだ。
ただ距離があるから、ひたすら歩け続けるっと言った感じだ。
また、途中で何度か馬が人を運んでるのを見かけた。下っていくのは高山病か何かだろうけど、何故か馬で登ってく人もいた。

山はホント岩と土しかない斜面って感じで、大きなジグザグのゆるやかな道を登っていく。

13時半。やっと七合目に到着。
六合目から七合目は、ちょっと長く感じた。眺めはちょっと霧が出てきてて遠くまでは見渡せない感じ。
ここまでのジグザグの道を登ってくる沢山の人がゴマの様に見える。つーかシーズン中はホント日本全国どこ行っても人多すぎ。

  • 富士登山ツアー
    もう六合目だ
  • 富士登山ツアー
    馬も活躍
  • 富士登山ツアー
    次の山小屋が遠くに・・
  • 富士登山ツアー
    とりあえず休憩だ

 

さて次は八合目だ!今日泊まる場所も八合目。これだとすぐに着くんじゃないかと思ってたのだが甘かった・・。

七合目を出発してふと見上げると、もうすぐ近くに山小屋が見える。え?アレが八合目?でも10分ぐらいで着きそうな距離だ。しかもさらに上にもいくつか山小屋が見える。それを8、9と数えていくと10、11、12・・って、そんなワケないでしょ!?

で、数分後その山小屋に着くと、また「七合目 標高2700M」とあった。
さらに次の山小屋「七合目、救護所」??七合目っていくつもあるものなのか!?

いくつもあるんだな、これが。

七合目はもう沢山と思いながら歩いてると、今度はちょっと肌寒くなってきた。ウィンドブレーカーをはおる。
トイレなどはどこの山小屋も有料で沢山人が並んでた。山小屋によっては外まで臭いが強烈に出てるところもあって、ホント水が無いだけにこう言う処理って大変だろなぁと思った。
オレは五合目で出し切ったから今日宿泊の山小屋までもつぞ。

道はずっと、大きいジグザグの土の道。山の景色はホントここまで来ると岩と土だけって感じ。
落石を防ぐ大きなバリケートが沢山ある。
だんだん岩山になってきて、所々ちょっとよじ登る様な所もあった。

いかすぜジョン

ツアー客ではなさそうな外国人の登山者で10代ぐらいの元気な男の子がいた。勝手にジョンと名付ける。
ジョンは日の丸の旗の付いた杖を片手に、忍者のごとく岩山を駆け上がり、立ち止まっては下に手を差し出して「ヘイ!」と声をかけ、次々と他の登山者を引っ張り上げてくれるのだ。
他のツアー客も苦笑いを浮かべながらも彼の手に頼る。しかしジョンは何人か引き上げては、自分も早く登りたいから、また忍者の様に登って、登りにくそうな岩を見つけてはまた立ち止まって手を差し伸べる。だから同じ人が引き上げられる形になりやすく、私も結局2回引っ張りあげられた。
思わず私も真似して「ヘイ!」と手を差し出してみたいと思ったが、おそらく日本人の私がやると、みんな警戒して避けて通る気がするのは何故だろう・・。

15時半。ようやくちょっと大き目の山小屋が見えてくる。今度こそもしや八合目!?
道端で休憩中、山男ガイドの説明「あとちょっとで八合目だよ。そしてさらに4、50分ほど歩くと今日泊まる山小屋だからね」おお、やはり今度こそ八合目だ。

Hさんはちょっと頭痛がし始めてると言う。携帯酸素を使ってる人も何人かいた。
オレは今のところ頭痛も吐き気も無い。ペースがゆっくりだからなのか息切れも汗もほとんどかいてない。水もあんまり飲んでない。気圧や酸素、温度変化が無ければ、普段友達と行く山の方がよっぽどキツイと思うくらい。
ただずっとノドの奥の方に昼間食べたソバの味が残ってて気になる。これは高山病か?(←ただの食べすぎ)
足が痛いとかそう言う症状も特には無いが、さすがに歩き続けで十分に寝てない事もあって早く布団で寝たい気分だ。
その反面なんだか標高が上がれば上がるほど気分が高まってくる様な、ハイになってくる様な変な感覚があった。
やっぱり富士山ってエネルギースポットなんだろうか。それとも高山病?(←おそらくただの持病)

 

15時50分。ようやく八合目に到着。
と言うか最初の八合目と言おうか。標高は3100M。しかし雲が出てきていて下の景色があんまり見えない。時々晴れ間も見えるのだが、ほとんど雲。まぁおかげで直射日光もなく適度に涼しくて歩きやすい。この意味においてだけは雲男本領発揮だ。

さらに上を目指す。この辺りは、土がズルズルとすべる所が多く、踏ん張りが利かなくて、とても歩きにくく疲れる。
途中、「蓬莱亀岩八大龍神」とか言う石碑が建ってた。とくに何にも無いのにだ。よくわからず撮っておいたのだが、帰ってから調べると遠くに見える大きな岩を祭ってるようだ。

と、あとちょっとで山小屋ってところで、ポツポツ雨が降り始める。ここにきて曇り男は負けるのか?さらに次の瞬間、雨がヒョウになって降り始める。
みんな慌ててカッパを着る。オレは100円の半透明のカッパを持って着てたのだが、半透明だけに一瞬どっちが表かわからず着かけてやっぱり違うと思い脱いで裏返してまた着ようとしてまた逆だったりと、慌てると人間判断を誤るものだが、オレは結局、表も裏も濡らしてしまって、やっと着れた頃にはあんまり意味が無かった。

16時半。やっと今日泊まる山小屋に到着。既にむちゃくちゃ人が多い。この人達みんなここに泊まるのだろうか?そのわりにそんなに大きな山小屋ってワケでもないのだ。多分見えない奥手に広い山小屋なんだろうと勝手に想像してたのだが、それは大きな間違いだった・・。

みんな先に靴紐を解いておいて、入り口前でカッパも脱いで、一気に靴を脱いで手に持って山小屋に入る。下駄箱に靴を置く。似たような登山靴が沢山並んでるから、置いた場所をしっかり覚えておく。そのまま山小屋の人に案内されて寝室へ。そこで私は山小屋と言う未知の世界で初めての経験をするのだ!

脅威の人間8人詰め合わせパック

最初、そこが寝室だとはわからなかった。二段式の押入れの様な所で、そこですでに来てる人が死体置き場の様に詰め詰めに並んで寝てるのだ。え?もしかしてオレらもこんな風に寝るの?
山小屋のお兄さんに「じゃあ、上に上がって頭と足を交互に向けて寝てください」とさわやかに指示される。
え~!動揺しながら梯子を登り狭い天井に背中と頭をぶつけてコケル。
Hさん「だ、大丈夫?」
オレ「だ・・大丈夫です」
でも精神的に大丈夫じゃない。

さらに追い討ちをかける様に山小屋兄さんが「ここにもう一人入りますから空けといてください」とさわやかに言う。
3畳ほどのスペースに8人を押し込もうと言うのだ。天井も1mぐらいしかない。一人分横幅30cmぐらいだ。それも老若男女も関係なく、頭と足を交互にして並んで寝るのだ・・。
男性読者によってはカワイイ女の子の隣だったらラッキーじゃん!と思うかもしれないが、横幅30cmで、しかも顔の隣に風呂にも入れず何時間も歩いてきた直後の他人の足が来るんだから・・これで心ときめく人がいたらオレは尊敬する。
果たして、こんな体勢で寝れるのか?多分寝れないぞ!
なんだかまるで戦時中の防空壕に押し込められてる気分だ。いや、防空壕に入った事は無いのだが、前世では何度か入ってたに違いない(←説得力が無い)・・ホントそんな感じ。

しかしこれが山小屋の常識かもしれない。Hさんも初めてだしこう言うものなのだろうと黙って指示に従う。左隣の女の子3人組も小声でギャーギャー言いながら何とか順応しようと試行錯誤している。右隣はカップルで彼氏の方はショックでスネてるのか黙って隅で布団かぶって寝ている。彼女の方は不安そうに彼に声をかけている。

そこへさらに隙間を埋めるべく泊り客が来る。家族連れで来てる様で、子供とお母さんは下の段に押し込まれ、30代ぐらいのパパが我々2段目の泊り客8号として入ってくる。既にギュウギュウなのに大丈夫だろうか。
「大丈夫ですか?入れますか?」と声をかけると、パパ8号「大丈夫です。グイグイと隙間に入り込みますよ~。」と笑顔。
山小屋に慣れてる人なのかと思い話を聞くと、山小屋は二回目らしく、やっぱりよその山小屋も似たようなものらしいが、ここまで詰められるのは初めてらしい。普通はせいぜい畳一枚に2人分。でもシーズン中になるとこう言うものなのかもしれないと話していた。

 

山小屋兄さんが「フジサミット85、86は食事の用意が出来ました。87はもうしばらくお待ちください。」と声をかける。
85、86、87とうちらと同じような40人ぐらいの団体が3組泊まってる様だ。他の個人の泊り客もいる様な感じだったから、もう120以上の登山者がこの山小屋に泊まるのか・・すごい。

しばらくすると我々の食事の準備が出来たという声がかかる。とりあえず荷物を天井のフックに引っ掛け一旦降りる。
広間に行って座るとカレーライスを配られる。未だに何かソバの味がノド元に残ってる・・食えるかなぁ、と思いながらやっぱり全部食べた。
山男ガイドの説明では、これから仮眠の後、夜中0時半に山小屋を出発。3時半頃には頂上に着いてお参りした後、4時半頃日の出を見るとの事。道に迷う事は無くても、人の多さで逸れる事はあるから、逸れたら山頂の特定の店の前に集合。登山途中で気分が悪くなったり日の出になってしまったら無理せず、この山小屋に戻って待機するように説明された。

カレーを食べた後、お弁当が配られた。明日の朝食としてとの事。何かツアーとは言え、もう十分すぎるぐらい食べる事には気を遣われてる気が・・。大食いの人にとってはイイ企画だろうなぁ。

さていよいよ、またあの防空壕に戻って寝なくては。
左隣の三人組は相変わらず小声で騒いでる。「○○ちゃん、ホンマ足臭い~(笑)」○○ちゃん苦笑い。どうやらカルマを知らないな。私は○○ちゃんの味方だな。
右隣は彼も開き直ってちょっと気を遣ったのか場所を変わって彼女を隅に移す。
パパ8号は笑顔で体をすぼめながら頑張る。Hさんはこう言うものだろうと開き直って布団をかぶる。オレもあきらめて布団をかぶる。

しかしやっぱりなかなか寝れない。
下の段からは小さい女の子がうなされてる。狭いからか、高山病か? 母親が携帯酸素を娘に使わせている。パパ8号の家族ではないだろうか。ちょっと気になる。

かぶってた布団も暑くなってくる。体は隙間に入っても両手の置く場所が無く万歳してみたり頭やお腹の上に手を置いてみたり。右を見ても左を見ても隣の人の足。寝返りも打てない。さらにだんだん暑くなってきて布団をめくる。それでも暑い。

しかも私の場合、両隣の人の体が密着してるから、意識して壁を作っててもどうしても意識が流れ込んで来る感覚があって「暑い」とか「我慢できない」とか「外で寝たほうがマシだ」とか自分の意識と誰かの意識が混ざってる感覚でどこまでが自分の意識なのかわからない。こう言う所ではホントに自分の場合長時間いれないなとつくづく思った。
これも一つの経験だと何度も思い直して寝ようとしてると、急にパパ8号が起き上がって「ダメだ。暑くていられない。外で寝る!」と言い出して梯子を降り出す。
どうやらこの人の意識が流れ込んできていた様だ。
暑かった事もあって自分とHさんの被ってた布団をパパ8号に渡す。梯子の下で布団を被って寝るパパ8号。左隣の女の子三人組が布団の無くなった我々にも被れるよう自分達の布団を伸ばしてくれる。
7人になった事でやっぱりだいぶ楽になった。
畳短辺を90cmとして約3枚分で2.7m。8人で割ると1人の幅、33.7cm。これが7人になると38.6cmとなる。たった5cmほど広くなっただけだが、片手1本分広くなったと思うと大きいのだ。ありがとうパパ8号。
パパ8号は、家族のそばで寝れるというだけでも彼にとっては良かったかもしれない。うなされてる娘にやさしく声をかけていた。

しかし今度はイビキの合唱が始まりこれまたすごい。とりあえず耳栓を持って来てたので付けて寝る。これでようやくオレもウトウトしてきていつの間にか眠りについた様だ。

23時過ぎ。物音に目を覚ます。もう山頂登山の準備で起き始めている人がいる様だ。Hさんも先に起きて降りていった。オレもしばらくしてから起き上がる。

広間も店の外も、もう人が一杯。と言うか人がいない時間帯って無いかもしれないと思うぐらい。
広間の半分はカーテンが仕切られていた。このカーテンの奥にも人が押し込まれてるのだろう。どんな感じなのか見てみたいような見たくないような・・。

とりあえずトイレに並んだ後、オレも出発の準備を始める。と言っても顔を洗うところも無ければ水も無い。着替えも昨日のままだし、外はむっちゃ寒そうなのでとりあえず持ってきたもの全部着込んで寒さに備える。

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